Ergonが、重要なSAP S/4HANA移行プロジェクトにおいて、Vigience Overcastを活用してSAPと新たに構築したSalesforce環境をリアルタイムに連携し、顧客情報の一元化を実現した事例をご紹介します。

Ergon、Vigienceを採用してSAP S/4HANA移行とSalesforce連携を同時に実現

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S/4HANA移行を進めながら、6〜8か月でデータ連携を本番稼働
200
営業担当者はSAPへログインすることなく、Salesforceだけで業務を完結
5
SAPの知識がなくても、開発者は数日でオンボーディングを完了

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事業分野
 特殊石油製品の精製・販売(ベースオイル、アスファルト、エマルジョン製品)

活用事例
Customer 360連携、品目マスタ同期、受注管理、SAP Datasphere連携。

企業概要
Ergon, Inc.は、米国ミシシッピ州ジャクソンに本社を置く非上場の特殊石油精製会社です。1954年にLeslie Lampton氏がトラック1台で創業し、現在ではミシシッピ州とバージニア州に製油所を構えるグローバル企業へと成長しました。大手総合石油会社とは異なり、Ergonはベースオイルやアスファルトなどの特殊石油製品に特化しています。これらの製品は、F1タイヤや道路舗装、プラスチック製品をはじめ、さまざまな産業分野で活用されており、事業を世界4大陸で展開しています。また、欧州、北米、南米、アジアを中心に、約500名のSalesforceユーザーが利用しています。
www.ergon.com

System Landscape

「以前の私たちにとって、SAPはまさにブラックボックスでした。データが必要になるたびに、「このSAP APIを確認してもらえますか?」「このODataサービスから情報を取得してもらえますか?」と誰かに依頼しなければなりませんでした。その結果、SalesforceチームとSAPチームの間にはコミュニケーションの壁が生まれていました。」


Jack Mazza 氏
Ergon社 開発マネージャー

2つのシステムに分断された環境

Ergon社はトラック1台からスタートし、現在では世界4大陸で事業を展開する特殊石油精製会社へと成長しました。同社の製品はガソリンスタンド向けではなく、F1タイヤや道路舗装、プラスチック製品など、世界中のさまざまな産業分野で活用されています。現在はミシシッピ州とバージニア州に製油所を構え、欧州、北米、南米、アジアで事業を展開しています。

同社では25年以上にわたりSAPを基幹システムとして活用してきました。そして、SAP ECCからSAP S/4HANAへの移行と、新たなSalesforce環境の構築という2つの大規模プロジェクトを同時に進めることになった際、SAPとSalesforceの連携は避けて通れない課題となりました。

顧客情報やビジネス状況を横断的に把握できる環境がなければ、経営判断に必要な情報を得ることすら容易ではありません。「米国の顧客の状況はどうなっているのか」「メキシコでの事業は順調に推移しているのか」「SAPの最新データは何を示しているのか」。こうした基本的な問いへの回答にも時間がかかっていました

Ergon社のSalesforce開発マネージャーであるJack Mazza氏にとって、この課題は単なるシステム連携の問題ではありませんでした。同氏のチームには、25年間にわたり蓄積されたデータサイロを解消しながら、同社にとって過去数十年で最も重要なIT変革を推進するというミッションがありました。また、データを確認するたびに他部門へ依頼するのではなく、自ら必要な情報へアクセスできる環境も求めていました。同社ではすでにSalesforceを導入していましたが、複数のSalesforce組織が独立して運用されており、SAPとの連携は行われていませんでした。そのため営業担当者は必要なデータを取得するたびにSAP担当者へ依頼する必要があり、業務のスピード低下や的確な経営判断の妨げとなっていました。

「以前の私たちにとって、SAPはまさにブラックボックスでした。データが必要になるたびに、『このSAP APIを確認してもらえますか?』『このODataサービスから情報を取得してもらえますか?』と誰かに依頼しなければなりませんでした。その結果、SalesforceチームとSAPチームの間にはコミュニケーションの壁が生まれていました。」Jack Mazza 氏(Ergon社 開発マネージャー)

Ergonが直面していた連携の課題は、同社のビジネスの複雑さそのものを反映していました。欧州、アジア、南米の営業チームは、粘度や製油所コード、原油価格に連動する価格体系など、複雑な製品情報を扱っています。Salesforceで作成された契約情報は手作業でSAPへ連携されており、価格に関する問い合わせもSAP担当者を介さなければなりませんでした。

こうした運用を約500名のSalesforceユーザーに対して継続することは現実的ではありませんでした。特に、25年分のSAP ECCカスタマイズをSAP S/4HANAへ移行する大規模プロジェクトの最中においてはなおさらです。そこで同社は、まず日常的にSAPデータを活用している200名の営業ユーザーを対象に、第一フェーズを開始しました

3つの変革を同時に推進

システム連携は、Ergonが直面していた課題の一部にすぎませんでした。同社は、3つの重要な変革を同時に進める必要がありました。

1. SAP ECCからSAP S/4HANAへの移行
長年にわたり蓄積されたABAPカスタマイズや既存業務プロセスを、クリーンコアを前提としたSAP S/4HANAアーキテクチャへ移行すること。

2. Salesforceの新規構築(グリーンフィールド導入)
複数の地域で利用してきた既存システムを刷新し、次世代CRM基盤としてSalesforceをゼロから構築すること。

3. 分断されたデータ基盤の統合
SAPには、取引先階層(得意先・納入先情報)、製油所の運営に欠かせない製品仕様を含む品目マスタ、価格情報、与信情報など、重要な業務データが集約されていました。しかし、Jack Mazza氏のチームはSAPの専門知識を持たず、必要なデータを参照するたびにSAP担当者へ依頼しなければなりませんでした。

これら3つの変革を支えていた共通の要件が、SAPとSalesforce間の双方向リアルタイム連携でした。

複雑な製品体系を扱いながら世界各地で営業活動を展開する同社にとって、この課題の解決は最優先事項だったのです。

Salesforceネイティブの連携基盤を採用

Ergon社は、導入パートナーであるCoastal CloudとともにVigienceを採用し、自社が求めていた連携アーキテクチャを実現しました。Vigience OvercastはSalesforceのマネージドパッケージとして動作し、SAP S/4HANAと直接連携できます。

「私たちはSAP標準のOData APIを利用してSalesforceと連携しています。双方向連携を実現しながらも、可能な限りクリーンコアの考え方を維持しています。」Jack Mazza 氏(Ergon社 開発マネージャー)

Overcastの導入により、Ergonは大きく4つのメリットを得ることができました。

  • インフラを追加することなくSAP連携を実現 OvercastはSalesforce環境内で稼働するため、追加のサーバーやミドルウェアを導入・運用する必要がありません。新たなインフラの構築や監視、バックアップ管理を行うことなく、SAPとのリアルタイム連携を実現できます。
  • クリーンコアを維持しながらSAP S/4HANA移行を推進 OvercastはSAP標準のOData APIのみを利用して連携するため、SAP S/4HANA移行期間中もクリーンコアアプローチを維持できました。これは、多くのiPaaS製品では実現が難しかった要件の一つでした。
  • SAP S/4HANAの将来変化にも柔軟に対応 SAPのアーキテクチャに変更が加えられた場合でも、標準APIベースの連携を利用することで、大規模なカスタムコード改修を行うことなく対応できます。SAP環境の将来的な進化にも安心して追従できる構成です。
  • Salesforce開発者が自らSAPデータを活用可能に 特に大きな変化となったのは、Salesforce開発者がSAP担当者に頼ることなく自らSAPデータへアクセスできるようになったことでした。Overcastに搭載されたデータエクスプローラーにより、Java開発者はSAPのODataサービスを直接参照できるようになり、APIやデータ構造を確認するたびにSAPチームへ依頼する必要がなくなりました。

「今ではSAPへ直接アクセスできるため、必要に応じてあらゆるODataサービスを確認できます。自分たちが構築している内容への理解が深まり、SAPチームとも同じレベルで会話できるようになりました。」

導入プロセス

Ergon社は、社内開発チームと導入パートナーであるCoastal Cloudが連携してプロジェクトを推進しました。立ち上げフェーズでは、SAPに精通したVigienceのCTOがJack Mazza氏のチームと直接連携し、Salesforce開発とSAPアーキテクチャの橋渡し役を担いました。この実践的な支援により、本来であればさらに時間を要した導入プロジェクトを大幅に加速することができました。

導入効果

同社は、顧客情報、製品マスタ、受注処理、与信確認、文書管理などにわたる30のデータ連携をOvercastで実現しました。

1. 営業担当者はSalesforceだけで業務を完結

現在では、営業担当者が顧客情報を開くだけで、与信情報、製品仕様、価格条件、在庫状況などをリアルタイムに確認できます。これらのデータはSAPから取得され、常に最新の状態に保たれています。

「私たちはOvercastの標準機能を活用しながら、自社要件に合わせて必要な調整を加えています。SAPから取得する特定のコードやデータについても、マッピングやロジックを柔軟に追加できる点を高く評価しています。」

現在の業務プロセスは次のように連携しています。

Salesforceで契約を作成 → SAPへ連携 → SAPで受注・請求処理を実行 → ステータスをSalesforceへリアルタイムに反映

「取引先情報や契約情報など、多くのデータをSalesforceからSAPへ送っています。つまり、一方向ではなく双方向の連携が実現されています。」

バッチ処理や夜間同期とは異なり、同社の連携はリアルタイムで動作しています。SAPをシステム・オブ・レコードとして維持しながら、営業担当者はSalesforceを単一の業務プラットフォームとして利用できるようになりました。

2. SAP未経験の開発者も自走可能に

「私はもともとJavaを中心とした一般的なソフトウェア開発のバックグラウンドで、SAPについては何も知りませんでした。しかしVigience OvercastのおかげでSAPへの理解が深まり、今ではSAPチームとも同じレベルで議論できるようになりました。」

価格情報に不整合が発生した場合でも、開発者自身がSAPまで遡って原因を調査できるようになりました。SAP担当者への問い合わせや回答待ちは不要です。SAPの知識がなくても利用できる一方で、必要に応じて深いレベルまで分析できる環境が整いました。

また、OvercastのComponent Builderにより、高度なSAP知識がなくても連携機能の構築や変更が可能です。新たなSAP項目をSalesforceに表示する場合でも、ドラッグ&ドロップによるマッピング設定で対応できます。

オンボーディングのスピード:「4〜5名の開発者が短期間で立ち上がり、すぐにOvercastを活用できるようになりました。独自に連携基盤を開発していた場合には得られなかった大きなメリットです。」

3. グローバル事業を支える統合基盤を実現

同社は欧州、北米、南米、アジアで事業を展開しており、それぞれ異なる営業組織、価格体系、製品体系を運用しています。Overcastによる連携によって、SAP上の地域別組織階層をSalesforce上に再現し、各ユーザーが担当エリアに応じた情報へアクセスできる環境を実現しました。

「Ergonはグローバル企業であり、世界中で営業活動を行っています。Overcastによる連携によって、そうした組織構造や階層をSalesforce上で再現できるようになりました。」

今後の展望

SAPとSalesforceの基盤連携が稼働したことで、Ergon社ではすでに次のフェーズに向けた検討が始まっています。現在は、同社のアスファルトシーラント事業会社において、Vigience Revenue Cloudとの連携活用を検討しています。価格体系が比較的安定していることから、Revenue Lifecycle Managementとの親和性が高いと考えられています。

また、AIを活用した発注書処理の自動化も検討しています。PDF形式の発注書をアップロードするだけで、SAPの受注データへ自動変換する仕組みの実現を目指しています。

Vigienceを評価する3つの理由

Jack Mazza氏は、Vigienceとの取り組みが成功した理由として、次の3つを挙げています。 [vigience.com]

  • 製品開発へ直接フィードバックできること「製品開発チームと直接つながっていると感じられました。私たちの要望や取り組みが製品の方向性に反映され、自社のユースケースにより適した製品へと進化していったと思います。」
  • 迅速で実践的な技術サポートVigienceの技術チームは、同社の開発チームとアーキテクチャレベルで直接連携しました。技術的な課題も数日以内に解決され、プロジェクトを滞らせることなく推進できました。
  • 短期間で立ち上がれる使いやすさ SAP経験のない開発者でも、わずか数日でOvercastを習得し、連携開発を開始できました。4〜5名の開発者が短期間で戦力化できたことは、自社で独自開発する場合には得られなかった大きなメリットでした。

「営業担当者は、今後SAPを利用する必要がなくなると考えています。顧客管理や契約登録はすべてSalesforce上で行い、その後の受注処理はSAPとリアルタイムに連携されます。SAPをシステム・オブ・レコードとして活用しながら、営業担当者はSalesforceだけで業務を完結できるようになりました。これは私たちにとって非常に大きな変化です。」

Ergon社の業務変革を支えたVigienceソリューション

Ergon社は、SAPをシステム・オブ・レコードとして維持しながら、営業担当者がSalesforceを業務の中心として活用できる環境を構築するため、Vigienceソリューションを採用しました。

SALESFORCEネイティブ連携アプリナンバー1

  • OvercastはSalesforceネイティブのクラウド連携サービスで、SalesforceをSAP 、Oracle、Microsoft、その他のオンプレミス・アプリケーションに迅速かつ簡単に連携できます。
  • 追加のオンプレミスソフトやミドルウェアのインストールは不要です。
  • 何千ものSAP ビジネスオブジェクトとの連携をポイント・アンド・クリックで実現。